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中央テレビ編集 


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自治随想
新しいこの国のかたち、パラダイム転換
~その3、日本型州構想をどう考えるか~
地域主権体制下に於ける日本型州構想の提案
 佐々木信夫中央大学教授は「47都道府県体制を廃止し、10州+2都市州の制度に移行し、 その組み立てを都市レベルから構想する日本型州構想」を力説する。出身校の早大・我が母校中大、全国市長会・白門市長会・都道府県・市町村・各種団体等々各地で講演、多くの著書等を著す。その主張は解り易く大きく国の仕組みを変える具体例として1964年東京オリンピック時に大学生の私たちに慢性赤字の国鉄を思い切って 7つの民間会社に分割させ、全国に張り巡らされた鉄路を 1つの財布と東京本社で一括管理と経営改善を続けて、結局、 1987年第 2次臨時行政調査会(土光臨調)の答申で分割民営化の選択が迫られそれを実行(分割民営化)して一応の国鉄改革を終えた。日本人の多くも国鉄改革は成功であったと認めるところであるが、今課題とする日本型州構想への改革も、税金の多くを国が集め、ブレンドされた税金を国の意思で再配分する中央集権体制を打破しなければ日本の再生はない。それに代わる地方圏域に自立した地方政府をつくり税金の集め方、使い道を身近な国民の判断に任せる。これによって圏域の自立経営を促そう。日本の中で自らの意思と知恵による地域圏競争が起こり、海外との貿易窓口も国ではなく州に移ることで、グローバリゼーションヘの対応もできる大改革だ。この構想実現は全国民・省庁・府県・市町村・国会などを巻き込み一夜にしてできるものでない。明治維新の大改革も藩体制を壊し版籍奉還を勝ち取り廃藩置県にたどり着く流れから始まり、明治政府ができたのは明治18年、明治維新から20年近くの年月をかけて近代国家日本が生まれた。 ところが明治の初めから 10倍近くにまで増え続けてきた日本の人口が、マイナスに転じて10年を超え「20世紀の人口時代は終わり、21世紀は人口減時代」となる。戦後70年2015 (平成 27) 年第18回統一地方選挙を節目に、「国のかたち」のあるべき姿について歴史的転換期と捉え、考え直す必要を痛感する。

地域主権の国、新たな国のかたち論議から
 地方創生の旗振りから、簡素で効率的な統治機構への大胆な改革に挑み、二重三重の大幅な無駄を削減し細切れの 47都道府県に代わる、広域的な州制度への移行によって、地域主権型の水平的競争社会をつくるといった大胆な転換なくして日本の再生はないと提案する。例えば、九州7県でオランダ並み、東北6県でスウェーデン並み、1都3県でイギリス並みの経済規模を持つ日本に気付く仕組みづくりをし、九州が1つの州として主体的に活動すれば一段と成果は上がるに違いない。経済・生活・人々の活動の広域化に対応すべきだ。2000年に始まった分権改革の究極の姿は各圏が統治権を持ち、主体的に活動できる道州制への移行、即ち、47都道府県制度を改め、約10の広域州制度に変え、そこに国から内政に関わる多くの権限、財源を移し内政の拠点にする。こうして州同士が競い合い世界に結びつくことで日本全体がダイナミックに成長が見込まれる「日本型州構想」が見えてくる。面積が米カリフォルニアの一州分しかない狭い日本に、 公権力を持つ統治機構が、国・その出先機関・府県・その出先機関・そして市町村・その支所と5層・6層にも重なる。システム維持に相当の税が使われ、縦割り体制の維持、硬直的な統治機構が温存される。また国民生活の約3分の1を占める公共部門に、ある種市場メカニズムが働くよう地域間競争の原理を入れ、州政府間の政策競争、 各州広域圏の圏域間競争といった水平的な競争関係を生み出す統治システムヘの転換といった新たな国のかたちが考えられる。 つまり、ヨコ型の地域間競争メカニズムを作動させることで、従来のタテ型の集権的統治システムから地域圏を開放し、元気な日本を創る考えで、硬直した公共分野に市場メカニズムの発想を持ち込むのだ。佐々木信夫教授は「速やかに道州制基本法を国会に提案し、政府及び各プロック圏に道州制国民会議をつくり、広範な国民の意見を反映する形で新たな地方創生の道を探るべきである」とする。これまでの一世紀余り高度経済成長も追い風となり、全国的に統一性・公平性を担保するために国が強い指導力を発揮する中央集権体制が機能し、国は自治体に対し「自治の原則」より格差を是正する「均衡の原則」を重んずる自治体政策をとり続け、結果としてどの地方にも同程度のサービスを提供できた。しかし 21世紀の今、高度に都市化したこの国(都市国家)に中央集権体制の同じ手法は通用しなくなる。人々の多様な価値観・地域の多様化が進む社会では、税金の使い方も単なる統一性・公平性を重んじるだけでなく、多様な使い方・集中と選択を重んじる社会、即ち、自ら参画し手触り感のある政策作り・多様性のあるスピード感を持った問題解決を世の中が望むように変わった(中央集権体制の制度疲労)。だから地方分権を進め身近なところで税金の使い道を決める必要(時代の法則)があり、この改革こそが「日本型州構想」なのだ。これからは自己決定・自己責任・自己負担の原則で地域経営を行う。国も内政に関しては後ろに下がり、均衡の原則より「自治の原則」を重んずる方向へ舵を切るのが地域主権型国づくりの方向だ。 日本型州構想はそうした国を実現するための道州制構想なのだ。

道州制度への移行シナリオ
 先ず国会(立法過程)に「道州制基本法」を提出し、一連の改革の根拠法をつくる。その内容は、州制度移行の目的・州の区割り・州都・大都市制度・東京や市町村のあり方・州と国、市町村との役割分担・州の公務員制度・州の議会、選挙制度・州知事の権限及び州政府の仕組み・道州の立法権・基礎自治体の規模・州の税財政制度及び調整制度などが書き込まれる必要が指摘される。政府の道州制ビジョン懇談会では、移行過程を3段階に分け①道州制基本法の制定(基本理念・実現への工程表・道州制の検討体制)―②道州制実施法の制定(道州の役割・権限、区割り、税財政、公務員制度など)―③道州制法の制定、実施を示す。なお2014年春の通常国会に提出予定であった自公与党提出原案には、3年間道州制国民会議を設置し有識者や政治家で議論し、その結果を受けて道州制実施本部創設、具体的に移行の目標年次を決め推進するとしたが、政治的判断から基本法提案を見送っている。更にこれが州の区割案、国・州・市町村の役割分担見直し、州政府の統治制度といった個別具体の話になると、地域間の優劣や選挙地盤など各党の政治的思惑も加わりより複雑となろう。

地方圏ビジョン
 今から半世紀前に経営の神様松下幸之助氏が日本で初めて「廃県置州」を唱え、「北海道が国家(州)であれば北欧諸国を凌ぎ発展できる」とされた有名な話が残る。また、平松守彦元大分県知事は「九州7県を1つの州(九州州)にすれば九州独自の政策で経済活動を活発化させオランダを超えることもできよう」と、別府市での会議「カボスVSスダチ」で聞かされた。分断された7県が州制度移行で独自の政策転換、飛躍的成長を目指せると力説。 東北6県では縦割りで個別に活動する東北ではなく、1つの州政府の下で一体性を発揮できる「東北州」への道を目指し、現在でもスウェーデン並みの経済力をさらに高めることができそうだと、東日本大震災後に旧友の元市長から聞かされた。その一方で州構想における難題中の難題は「東京問題」だろう。西尾 勝行政学者は、第1に東京圏の道州の人口、雇用、富、情報の規模が突出して巨大、他の道州との均衡を失しかねないこと。第2に東京圏の州も他の道州と同じ2元代表制とし、州知事を直接公選にした場合、東京圏州知事の政治的権威は国の内閣総理大臣のそれと肩を並べるものになりかねないこと。第3、23特別区について現行の都区制度をそのまま維持するのか否かが問われることなどが問題視される。東京都市州構想、東京特別州構想、東京圏を分断する構想、東京市復活構想、東京西多摩リゾート構想など様々に議論され、加えて、大阪都構想(大阪市廃止・特別区設置・府市合体による大都市行政の一元化)が議論され、究極的に大阪都市州構想(日本を10州+2都市州日本型構想)に繋げられるかどうかになろう。また28次地方制度調査会資料図の中国・四国州や沖縄州など大きく括られた感のある州もあるが、国土の7割近くを山林が占め町村はその自然を守ってきた実績があり、小さくてもキラリと光る意欲的な地域、「郡」という広域の行政制度の中でまとまりを持っている。検討が急がれる日本型州構想は広域政策の枠組みを大きく広げ府県に代わる新たな州を創設する制度改革だ。一方で基礎自治体、特に町村については、人口減での消滅を待つのではなく新たな社会貢献を評価し、大きくテコ入れし魅力を創り出す構想でもある。この視点に立ったキメ細やかな協働こそ肝となろう。

国民との合意形成が基本
 国民のための「新たな国づくり」は、国民が主体的に日本型州構想の立法・移行過程に参加する方法を十分に講ずることが、その後の活力ある日本づくりにつながる。人口減少時代の真の地方創生は、身の丈に合った新たな統治の仕組みを作り出すことから始まる。それは国が地方の発展を手とり足とり引き上げるような明治期に始まる中央集権体制では全くない。国民、地域主体の地域主権型の新たな国家体制の下で、地域圏からエネルギーが涌き出るものでなければならない。知識も技術も優れた日本人、欧米に追い付け追い越せでキャッチアップ型国家を実現できた20世紀。それが終わった今、人口減少を新たな時代の幕開けのシグナルと受け止めて新しい国造りを目指してスタートを切る、そしてアジアの雄・世界でもモデルとなるような新しい日本の出発でありたいものだ。



(徳島文理大学総合政策学研究科教授 西川 政善)